残暑お見舞い

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この夏 べつになにもなかった ことしの夏
だけどね 夏の終わりはいつも寂しげ
風鈴ゆらす風はまだ熱を帯びて
額に首筋に汗をにじませる

しかくに切ってもらったつめたいスイカ
子供たちは体に似合ったちいさなフォークで
夢中で口にはこんでいる
そんなにあわてて食べなくても
だれもとったりしないよ
おかわりもたっぷりある
種はちゃんと出して...ほら...落とさないで

あの夏 まだあの人がいた 遠い夏
しかくに切ってもらったつめたいスイカ
あの人もうれしそうにたべていた
何度も何度もおかわりをして
イカの嫌いなわたしは 麦茶に氷をいれながらあきれ顔で
限りのない優しさに つつまれていたことを
まだ知らずにいた 遠い夏

この夏 なにも失わなかった ことしの夏
だけどね 夏の終わりはいつも寂しげ
今日あたり書こうか 
世界いちスイカをおいしそうにたべた
天国のあの人への 残暑お見舞い

ときには気持ちの浮き沈みもあるけれど
毎日を平穏に過ごしています
あなたにもらった優しさを
あなたがしてくれたのと同じように
わたしはちゃんと伝えていきます
だからそっちでも甘いスイカを食べながら
見守っていてくださいね