コトバナ2014
あれはただの終わり さよならですらない さよならと思っただけ ☆コトバナパラレル「思っただけ」☆
お湯を注いでからの電話や来客には 出なくったっていいのでしょう 秒針表示のタイマーは表示より きっかり30秒短くします 猫の手も借りたいなんていうけれど イカやタコの手じゃダメですか お湯をすてるまえのやきそばに ソースを先にいれた人がいたっけ …
訪れてもいない場所を語るとき それが言葉に過ぎないのと おなじように 想いとは ☆コトバナパラレル「想いとは」☆
うそつきのくせに真実に迫りたがるんだね ☆コトバナパラレル「liar」☆
口では終わりと云ったって 失い損ねた思いの屑は 知れずからだに蓄積されてる ☆コトバナパラレル「ストア」☆
きょうもまた 誰かが誰かをだまそうとしている 大なり小なり 巧妙にあるいは大胆に またあるいは無自覚に 利己を別のことばで装飾して ☆コトバナパラレル「trick」☆
ちがうのかもとおもってきた事が やっぱりちがっていた 経験的に違和感はだいたい正しい わるいほうには特に 次に活かせばいいよといっても それは次があるときに限る 僕らは僕らがおもうより 限定的な日々を過ごしてる 巨悪に立ち向かえるのは お話しのなか…
重い荷物をおろしたら すぐに眠れると思ってた 予定はようやく1つめの山あたり 都心をはなれたホテルの一室 くろい影をざくざく踏まないと キャンディひとつも買いに行けない エレベーターにむりに乗り込み ミストをのこして消えた髭の男 こちらをちらと見…
苦労が報われるのは 報われたひとだけで 報われなかったひとびとは いまもなお報われずに 苦労をかさねていることでしょう しかしそれでも あなたがいつか報われると わたしは信じています たとえ最後の1人になろうと ☆コトバナパラレル「rewarding」☆
誰かが笑ったってかまわないさ ゆうべはたぶんそう云ったのだ 賑わうバーの喧騒の中 わずかにききとれた単語をつなげれば ジョニーウォーカーのブラックラベルを 皆のグラスになみなみついで かれはビールのジョッキをうけとる 俺はこっちがいいとゆびさして…
それでははじめます。 いちからぜんぶ塗りなおせそうな 晴天の空につぶやいた それでははじめます ここからはじめます それはひとつの決意ではなく 読み上げるだけのふるい文字 淀みが混じらないようするりと 気をくばりながら それでははじめます。 ☆コトバ…
海老いりの麺をたいらげて なれた旅人のふりをしてあるく 港に面したこの市場には 日々あたらしい魚貝が船で運ばれてくる みたことのある魚ない魚 つるされた大きな何かのおにく あおあかきいろの唐辛子 ざるに盛られたフルーツは 色の良いのも黒いのもある …
ここにいるだれかのために ここにいないだれかのために あのひともあのひとも生きていくのでしょう 雑多な市場のにぎわいに それを感じとるのはすきです ☆コトバナパラレル「市場」☆
繋がり易いのもどうだろう 縮めたくない距離もある チヨコレイト パイナツプル もひとつなんだっけ 数えながらすれ違おう ☆コトバナパラレル「LINES」☆
ここでふたり背をむけたら まるい地球のてっぺんで 一番遠い存在は僕らだね 道の向こう君が見えるまで 自転の速さで24時間 想いならまばたきの速度で 世界じゅうを巻き込んで 君と僕とは出逢い直す ☆コトバナパラレル「出逢い直す」☆
記録されないのをいいことに 修正可能なふまじめな覚悟を これまで何度してきたことだろう ☆コトバナパラレル「ふまじめ」☆
自分に似てる物を見つけてたまにどきりとする 造っているのか壊しているのかわからない建物 あれだって一昨日までのぼくに似てる ☆コトバナパラレル「似てる物」☆
ここに運ばれてきたという点において 僕とチョコレートの包み紙のあいだに いったいどれほどの差あるだろうか また別のどこかの点につないで行こう そんなとりとめのない意思のほかに ☆コトバナパラレル「points」☆
痛みをわすれてもきずは消えなかったということ それはこの場で思いださなくてもよいこと ただ似た色を見ただけ 同じにおいがしただけ ☆コトバナパラレル「きず」☆
地球のどこかしこに穴があいていて そこは異次元と繋がっている 幼いころに描いた絵は いまも地下の物置に眠っているだろうか 繋がりすぎる世界の端っこで 繋がらない運命をさがしてる 掴めそうだった夢を手掛かりに 暴かれなかった嘘を目じるしに ☆コトバナ…
携帯電話に電源を受信したくない場合は 電波OFFモードをONにしてください だれもがわかりあえる世界なんてありはしない 3時間25分のトランジット ☆コトバナパラレル「トランジット」☆
旅立ちは数多の未知との出遭いのほんの前置き と書いてみて「の」が多いよねと誰にでもなく こころはかってにかたりかけている ここからどこへもかえれない明日行きのターミナル ☆コトバナパラレル「ターミナル」☆
この夏に遺していくものに まだ今は気が付かなくても 肌にふれる熱のちがいだけ わずかに刻んでおけばいい こんどくる夏のため ひとつの夏は締めくくられる ☆コトバナパラレル「夏の終り」☆
いつかどこかで終わった命が いまもなおこうして輝くなんて ☆コトバナパラレル「美しい世界」☆
行方知れずのその涙は 現在(いま)がつくりだす いつかの過去のおとしもの かつて音だけであった言葉は 時を経てわたしの血肉となる ☆コトバナパラレル「その涙」☆
不安の正体を突きとめたからって 何かどうこうできるわけでもない グレンリベットをトワイスアップで ありふれそうな夜の皮切りに ☆コトバナパラレル「トワイス・アップ」☆
馬鹿に合わせて世の中は変わってゆく ☆コトバナパラレル「馬鹿馬っ鹿」☆
ゆうべたべすぎたパスタが 足の爪先までつまっていて 柱の角にぶつけたらきっとそこから ところてんみたいににゅっと出てくる わたしの中から繰り出されていく 可笑しくもくだらない世界の中で 謎を解く鍵をあなたに持たせたことを 申し訳なく思う夏の日です…
どんなに喉が乾いていようとも 抜け殻の言葉にいいようにはさせない ☆コトバナパラレル「たとえ言葉が足りなくても」☆
ことばが記録されていくだけの たった1センチの薄っぺらい場所で 悩んだり苦しんだり しているきみはこっけいだよ うつむき目を細め覗きこまなくても すべてこのとは目の前にある 試しにそこに寝そべってみたらいい ☆コトバナパラレル「世界の在り処」☆