新しい旅

イメージ 1

誰かが笑ったってかまわないさ
 
ゆうべはたぶんそう云ったのだ
賑わうバーの喧騒の中
わずかにききとれた単語をつなげれば
 
ジョニーウォーカーのブラックラベルを
皆のグラスになみなみついで
かれはビールのジョッキをうけとる
俺はこっちがいいとゆびさして
知ってる日本語がある
エビだよ、エビ
そうだあしたエビの麺を食いにいこう
 
祭日あけの日曜日
ごったかえした港の市場
行く人来る人ハロハロウと挨拶をする
かれの前に自然と道ができていく
 
麺が見えないくらいのエビ、エビ、エビ
ユーはティーに砂糖をいれないのか?
けげんな顔も人なつっこい
「会う前はマフィアのボスみたいな人と思ってた」
うまく言えたらどんな顔をしただろう
 
次に会うまでに英語を学んでこい
俺も日本語を勉強しておくよ
わたしはノーとはいえなくて
さしだされたかれの手をとった
 
計らずも約束の地となった
パステルカラーの町並みは
旅のおわりと新たな始まり
肌にしみつきそうな潮のにおい
 
照れずに話せ
誰かが笑ったってかまわないさ
俺はもう一杯、ユーももう一杯
わたしはイエスと親指をたてる
ビールジョッキのかさなる音は
おなじひとつの言葉だった
 
 
 
☆コトバナパラレル「新しい旅」☆