コトバナ2007 3Q

井戸端にて

「身悶えるような恋がしたいわね」 メイルボックスにもたれて 頬杖をつくあのヒトの いたずらな瞳と目が合って 僕は仕様が無くて笑った

カクレンボ

自分の心とカクレンボ 自分の気持ちに横恋慕

秋桜畑

ゆめゆめ夢に観たままの いちめん拡がる秋桜畑 ゆめゆめ夢と魅まちがう あなたの指にふれたいな ゆめゆめ夢の奥ふかく あなたの息にゆれたいな

恋人たち

恋人たちは 輝き続けなければならない 悲しみに出遭っても 歩き続けなければならない たとえ遠くても 喜びを胸に 寂しさを糧に 愛することを誇りに 恋人たちは 輝き続けなければならない

赤ナス

赤ナス 秋茄子 オタンコナス ナスにもいろいろ あるけれど ナスがままに 生きてけるかな 僕ら あの赤ナスみたいに ほら たくさんの実つけて

月とナイフ

月とナイフ きりとって くらやみに ほうりなげた 理性のカケラ あなたはとうに 白濁の水流に 身をなげだして たゆたっている 切りクチをちぎって ひきチギッテ ...契ッテ... 月のひかりが くらやみに 失われてしまうまで。

雨を待つ

またそうやって無理に笑うんだね からからに渇いた土に どうにか立ってる小さな一輪 風に抗い 空を仰いで水をまつ それが君 太陽は今日を容赦なく ひとつのこらず焼き切っていく それでもいつか その頭上に雨は降るだろう かなしみもいつか その腕の中で終わ…

同じ空の下

信じていれば必ず叶うと決めつけて ずっと夢を見させていてください そうしてそれは叶うかも 今見えているものがすべてではないのです ――同じ空の下で息をしているあなたへ――

wallflower

雨あがりの曇った窓ガラスに 指先が綴ったのは またあなたの名前だった 軒からぽたぽたこぼれる雨の雫は 私の涙であり あなたの血 もの言わぬ花となって あなたのそばでわらっていられたら そうすればもう言葉が あなたを切り裂くこともないのでしょう 優し…

scale

二人の距離をものさしで はかることができたなら 私たちは傷つくのでしょうか チクタクと動く針を とめることができたなら 二度と動けなくなるのでしょうか どんなに愛しても どんなに求めても 心なんてわからないとあなたは言う それならそれで せめてわか…

Over The Rainbow

うれしくてたまらない顔をして 朝の6時から赤いヘルメットかぶって 家の外と中を行ったりきたり 誕生日に買ってもらった そのぴかぴかの自転車で 今日はどこまでいくんだい? 君ははにかみながら 窓からみえる虹を指差す いこうか ママにつくってもらったお…

ひかりへの脱出

地下鉄をいつものよりも北へ乗り 何駅かすぎてしばらくすると 電車が地下を這い出して大きな川をわたります 暗闇からひかりへの脱出劇 胸踊るこの瞬間が好き

破片

ぼくたちは 遠い遠い昔に引き離された ひとつのからだのふたつの破片 つながって愛し合って 完全なからだになるために 何百年もお互いを探し続けていた ふたつの魂の記憶が 幾重の刹那をくぐりぬけて いまひとつに符合する たとえ明日 世界が粉々に砕け散っ…

水際で

水際に裸足でたつと さいしょは傷にしみるけど 次第につめたさに馴染んでくる だれもいなくなった渚は この世界の成り立ちを 無言のままにみせつけているみたいだ きみという人を理解することは ときに すくい上げた砂のひとつぶを数えるほどに 途方もなくも…

あなたの空を

模型みたいな小さな機体の かたむく翼を気に掛けながら ワタ菓子みたいな雲を抜けて 鳥の視線より遥か高くから望む 果てのないパラレル・ライン あなたが唯一こころをひらく この空にぼくは憧れていた この世のすべてを 浄化してしまえそうな澄んだ碧 ほんの…

否定なんて芸がない

でもね をやめて そうだね ということにする

海まであるこう

海まであるこう ぼくらにはもう 昨日があるから 想いをつないで 海まであるこう 海まであるこう ぼくらにはまだ 明日があるから こころつないで 海まであるこう

決意の海岸線

この夏がつれてきた あとに引けない感情の 重なり打ち寄せる粗い波 もうどこへも帰らない そうこころに決めたから ここが決意の海岸線

ただ胸にふかく

秋の気配と夕陽に褪せていく空 肩をならべふたり海をみている ...これで離れ離れ 「またいつかここで会おうね」 穏やかに微笑んできみは言った 1000の愛の言葉より きみがここにいることを 胸にふかくきざむ 夏は通りすぎてしまうだけ 雲は遠くへ流れ…

合図

雨上がりの涼しい夜空に 8月を締めくくる花火が 打ち上げられました まるでそれは 明日からはじまる新しい日々の スタートの合図のようでもありました

不死

もしもわたしが不死ならば 手に余る限りない時間を 好き放題に遣うだろう 明日の不安も心配も なにも無いだろう そしていつの日にか 夢も望みもすべて叶い 無限に続く時間が遺され わたしは孤独になるだろう

笑い飛ばしたい

小さな誤解 些細な諍い ころんでつけた膝の傷 あなたへのわずかな嫉妬心 みんなみんな この青空のむこうに 笑い飛ばしたい 破れた約束 破った約束 こころにつけた細い傷 あなたに響かなかった詩 みんなみんな この青空のむこうに 笑い飛ばしたい そして明日…

long drive

サイドミラーにうつりこむ 昨日を すててゆくドライブ 目前に拡がる景色は 嘘を許さぬ青空の下に 果てしなく敷かれた 迷いのない一本道

かえっておいで

もういまでは かみしめることも叶わない せつない想いたちよ かえっておいで ここへ もうどこへもとべないのなら かえっておいで かえっておいで どこへも行けない言葉たち ここへきていっしょに 朝まで泣こう

sunset

今日をひとつのこらず 焼き尽くして 西へと続く道を示しながら 太陽は静かに降りていく 同じ陽をみているのなら ふりむいてみてください 夕ご飯まですこしのあいだ 海をこえて みつめあいましょう

残暑お見舞い

この夏 べつになにもなかった ことしの夏 だけどね 夏の終わりはいつも寂しげ 風鈴ゆらす風はまだ熱を帯びて 額に首筋に汗をにじませる しかくに切ってもらったつめたいスイカを 子供たちは体に似合ったちいさなフォークで 夢中で口にはこんでいる そんなに…

passing by

かわいた砂浜 きみがおとす水晶の涙 ひろえずに ぼくは遠くをみて 波にさらわれた文字さえ 気づかない 知るにはまだ はやすぎた 夏が静かにすぎていく音 さらさらと 消えてゆく

ぼくにできること

ぼくにできること 今はなんにもありませんね 描きなぐられたあなたの言葉 読むことだけでかまいませんか だれかの励ましに慰めに もう平気 大丈夫って応えてる そんなぼろぼろの「大丈夫」じゃ こっちが泣けてきます 悲しむあなたの液晶のむこう 泣いてるあ…

ひまわりに会いに

ひまわりに会いにきました 駅の花屋さんでも見れるけど 土にまっすぐ根を張る君に 勇気をもらいたかったから 自転車でここまできました 蒸し蒸し暑い坂道を すこしうんざりしながらも どうにか上って着きました 太陽にほど近い高台で わらってる わらってる …

また今日もとびたった 甲高い声の歌い手たち 真夏のまばゆいそらを不器用に なないろの羽根をばたつかせて じぶんのみじかい生涯を しっているのかいないのか 舞台は毎朝五時きっかりに 幕が切って落とされる そのうすい殻を脱ぎ 残りのじかんを識ったとき …