がんばって

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
紅く染まりはじめた防波堤　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
かえりみち　自転車とめて
みずいろのジャージの袖ごし
きみはぼくの手をにぎりしめた

がんばっているのに
もっとがんばれだなんて
これいじょうはがんばれない
ぼくはうつむいて吐きすてた

きみはなにもいわなかった
ふたりはそれっきりになった

いくつも季節が過ぎて
悲しみを撒き散らした
雨あがりのにごった海に
静かにひろがっていった波紋

ことばに敏感になって
ほんとうの気持ちをみようともせず
むきになって
たいせつなひとを遠ざけた

がんばってといってくれた
きみのやさしさをだきしめて
今日のぼくはがんばろう
あの放課後にはもどれなくても