ハイビスカスと秋

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春の休みに枝を刈った
ハイビスカス

そうしておけば秋には
きれいに花をつけるから
あなたは痩せた手を布団からのばし
はさみの場所を指さした

私は腕まくりで背を伸ばし
あるいは階段から身を乗り出し
丹念に木を丸坊主にした

掃除を手伝うと言ってくれた
ちびちゃんが
枝にぶら下がる虫をみつけて
慌てて逃げだす


そうしておけば秋には
きれいな花をつけるから

あのときの私の安堵を
あなたは知らないでしょう
やっぱり生きていたい
そう呟いた夏の日も

こどもをうしなうかなしみなど
私には想像もつかない

おわかれの花も持たず
娘のさいごの顔も見ず
かわってやりたいと震えるあなたに
かけることばもみつからなかった


秋です
私たちがいちばん悲しかった日がきます

あなたとハイビスカスに
会いにゆきます