詩作の夜

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詩を書くことは容易いが
詩人には到底成れそうに無い
死と書くことも容易いが
死人には当面成りたくは無い

詩と死は何故同じ音なのだろう
四の五の想い巡らすうち夜は深まる

私はときに文字に惹かれたり
或いは文字に轢かれたりする
惹かれるときには嬉し楽し
轢かれて仕舞うのは大層痛し

愚かにも当てならない記憶に
色々の付箋紙を貼ったり剥がしたり
丸めて放かしたり 飲み込んでみたり
そうして何時しか詩作は体を成す

...筈だがしかしよう考えてもみろ
文字が薬や刃になるわけはない
こころの膜にも触れぬものなら
言葉はただの記号に過ぎぬのだ

ならば詩と死及び詩人と死人の関係を
身勝手に位置づけることは止めにして
せめて文字を踊るように弾けたらと願うか

焼酎グラスに浮かぶ月の檸檬
痛みの意味も判らぬ頃に窘めた
氷点下零度の詩作を哂いながら
色々の付箋紙を貼ったり剥がしたり

取り留めもない詩作の夜は斯様に