あじさい

　
ここのところ休みなく働いたから
すこしはカラダを思いやって　ちょいとひとやすみ
天気はあいにく雨だけど
雨のお陰でおいしいお米や野菜が食べられるのだし
きれいな花を眺められるのだと言って一人うんうんと頷く

さんざん降りしきった雨も正午からは弱くなり
３時にはもう晴れ間も見えてきた

窓を開けると
集団下校の小学生たちが２列になって歩いてくるのが見える
色とりどりのランドセルと傘の行進
皆　口々に隣家の垣根からせりだした花の名前を呼んでいる
かの賑やかな　ちいさな音楽隊には　おそらく息子も混じっている

私は彼の分のレモネイドに氷をみっついれてやる

やがて騒々しく玄関のドアが開け閉めされ
家じゅうに　ただいまの声が響きわたる
私が居ることに　あっと驚いてから
ねえねえ見てよと駆け寄ってきて
表彰状のようにくるんと丸められた紙管を差し出す

二重にとめられた輪ゴムを解くと
中は紫やピンクでぎっしり
みずいろのクレパスの雨をうけてみずみずしく花開いている
画用紙いっぱいの　あじさいの花たち