空の器

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胸の器をからにして
なつかしい波と向き合った

この眼が映す世界がすべて
自分自身と識っていた
早熟だった少年時代
海も砂も同じようにか
それ以上に年老いて来たのだ

出逢いと別離れの意味
浪費し失った奇跡のありか
探るほどに遠のいた
永遠という名の一瞬のしるし

陽を見ぬ幾多の詩編
僕は何を遺したつもりだったろう
しかしそれは後悔でなく
むしろ爽やかだった夢の後味

からの器をきれいに洗い
かたく眼をつむり
なくてはならないひとびとを
じゅんばんにもどして

恐る恐る眼をあけた
そらは果てしなく青かった


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