この時

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あのワイン売り切れていたよ
ほどけるマフラアに手をかけて
ひとさし指があたる頬から
びりり胸にくる小さなイナズマ
 
買い置きのシーバスリーガル
それでいいよ氷だけでいい
つめたい私があなたの温度で
とけ出すところ眺めたい
 
週末は雪になるみたい
あの店マスクが安っかたよ
 
ピッツァの端っこもてあそんで
あたりさわりのない話して
テーブルのした足を蹴り合って
そしてほんのすこしの空白に
やっぱり泣きたいと思う
 
ただしさなんて今はいい
ただやさしくしてほしい
遠くのほうから雷の音がして
囁きは雨まじりに落ちる
 
隣の軒先泣いてる子猫
いつからそこにいたのかな
雨も風もわずかな物音も
手繰り寄せたわずかなこの時
こわさずにいてほしいのに
 
ただしくなくてかまわない
ただやさしくいてほしい
音楽のボリュウムはしぼって
容易い永遠を口ずさんで
すこし抱き寄せてくれるだけでいい
 
 
 
 ☆コトバナパラレル「この時」☆