花火大会

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夏の花火はふたりいつもの川べりで
暮れていく空に試し打ちが響くと
顔を見合わせてはしゃいだ
浴衣と髪飾りが似合ってた

一瞬きらめく花火より
君の笑顔のほうがすてき
カキ氷をかき混ぜながら
何度も喉元でとまった言葉
伝えておけばよかったよ

いつかきれいな夕焼けの日
君がひろった笹の舟
失くしたものは誰かの胸に
わらって確かそう言った気がした

流れていく川の傾きを
ぼくはひとつも気に留めなかった
きみが花言葉に夢中のときも
ずっと水面をみつめていたのに

失くしたものは誰かの胸に
さいごの手紙にはそうあった
ほんとうにいいたいことは
きまって後からこみあげる

来年もさ来年もそのつぎも
ふたりで花火を観に行こう
それは出すあてのない返事になった

君の笑顔はずっとあの頃のまま
鮮やかなどの花火よりもすてき

どんなに時が流れても
君がくれた言葉をおぼえている
書き添えて便箋を舟に折った

雨上がりのしめった夕空を
打ち抜く花火をききながら
僕は土手を降りて舟を浮かべた